公益社団法人日本建築積算協会・東海北陸支部

支部報 vol.38 2003.2

新年を迎えて 支部長挨拶

支部長 杉浦 譲治

 新年明けましておめでとう御座います。 
 ここ何年か、明るい書き出しはないかと探しますが、残念ながら我々を取り巻く環境の中でそれを求めるのは無理のようです。
 しかしながら、深い閉塞感の中へ自分自身を閉じ込めてしまっては一層活路は見出せません、今年こそ更に一歩前へ踏み出す努力をしましょう。この小さな一歩は必ず業界再生への大きな活力に繋がると確信します。
  また、その個々の力もそのままでは大きな力になりません、皆様の力を結集して業界の再生に努力しましょう。 

新しい力の結集には、まずコミュニケーションの輪の広がりこそ重要です、昨年は支部のホームページ(http://www.052e.com/~bsi-th/)も立ち上がりました。
 コミュニケーションの中心に大きく育つことを願っています。 業界の再生への大きな要素として、契約の形の多様化も必ず問題となるでしょう。
 一式請負方式が金科玉条のごとくわが国に定着してきたことも問題があるような気がします。価格に透明性がないことの原因のひとつです。
 いずれにしても今後の業界の再生のためには「コスト」の問題は最重要課題だと信じています。協会としての考え方をもっと社会に発信していければと思っています。 

 当協会の監事の生島先生は10年も前に、「日積協はわが国の優秀な建築積算技術者を会員として網羅していることは誰しも認めるところだから、会員の英知を結集して各界から期待されるノウハウを構築して顕在化させる、そして方向性と具体策を社会に強くアピールしていくべきだ。」と書かれている。

 10年を経た今、われわれは何をしてきたか大いに反省させられますが、支部ではデーターベース委員会がスタートしいろいろな問題に挑戦し始めています。
 特にそのスタートとして、施工されたばかりの「産業廃棄物処理法の工事費に影響する問題」を取り上げ、デファクトスタンダードにしようという意気込みで委員の皆様が挑戦しておられるのは大きな意味を持つものと期待しています。
 いずれにしても今後とも協会は社会に対して責任のある情報を発信して行かねばなりません。会員の皆様同士のコミュニケーションと、会員と協会との情報の交流がより大きな情報源として重要な要素となるでしょう。
 HPのより一層の活用を期待すると同時に、協会はより充実したコンテンツの作成に努力することをお約束します。 しかし残念ながら協会の財政的問題は現状ではとても解決できません。
 積算資格者だけでも30,000人弱の技術者が存在し、まだ更に多くの技術者が現実に積算の業務に係わっておられる現在、当協会の会員は現在3,000人弱、この少ない会員の皆様の会費ですべてが賄われているとすれば、全国の積算技術者の大きなよりどころとしてはあまりにも少ない財源であることは自明であります。 
 願わくは、今後会勢が更に多くの積算技術者の参加を得て、より多くの良質な情報が会員の皆様に還元できる良い循環軌道に乗るようにして行きたいと思います。

今年も会員の皆様が不況にめげることなく、各職場において一層のご活躍をされますよう祈念いたします。 

今年の八団体共催新年互礼会

佐藤 佳久

 「構造改革なくして、政治改革なし」と叫びつづけるだけで、テレビを見ても、ラジオを聴いても、「景気はどうですか?全然ですわ!」という言葉が、あたりまえのように、毎日流れてきてあいさつがわりになってから何年が過ぎたことでしょう。

 新年を迎え不景気、不況といやな言葉を2002年に置き去りにするかのように寒風吹きすさぶ中、18年ぶりとなった雪の中での箱根駅伝は参加校が19校プラス関東学連選抜チ-ムの20に拡大したにもかかわらず、全チームが繰上げスタートのない、気分爽快なレースで今年の景気回復を願うにはふさわしい始まりになりました。
 さて、当協会が参加するようになって7回目の互礼会ですが、昨年は当協会が初の幹事団体として、なんとか大役を果たすことができました。

 例年に倣い名古屋国際ホテル2階国際ホールにおいて建築関係八団体主催による新年互礼会が平成15年1月10日(金)午後6時から午後8時まで開催されました。今年は(社)愛知県設備設計監理協会が幹事団体で、村本かをりさんが司会をされ、神谷昌宏同協会副会長の「開会のことば」で始まりました。各団体長の紹介につづき城戸高同協会会長が主催者八団体を代表してあいさつをされました。その最中お見えになった神田真秋愛知県知事には東海地震強化指定地域としての防災強化に対する行政の考え方を交えながら来賓のごあいさつを頂戴しました。また、松原武久名古屋市長には市の財政・地震対策につづき広小路ルネッサンス構想を交えごあいさつを頂戴しました。

 つづいて司会者の紹介による(社)愛知県建築士事務所協会副会長大橋晃也氏の国土交通省大臣表彰受章の披露があり、つづき祝電披露のあと、前年幹事役の杉浦譲治(社)日本建築積算協会東海北陸支部支部長による「乾杯」で和やかな宴が始まりました。

 お酒もはいり会場中が大きな話し声と笑い声の中余興が始まりました。今回の余興は20代の若者によるパワフルな太鼓を演奏する、大治太鼓「尾張一座」のメンバーによるものでした。いつもとはまた違った雰囲気の中、楽しく盛り上がり、名刺交換や料理・酒を酌み交わし懇談しているさなか、会の締めくくりには恒例の抽選会があり、1等の抽選が6回もある異例の抽選となり、新春から縁起のよい贈り物に顔をほころばせていました。

 最後に来年主催幹事団体となる(社)愛知建築士会梅田俊比古会長の「閉会のことば」で散会になりました。

 

主催者団体代表のみなさん
大治太鼓「尾張一座」のメンバー

ホームページを利用しよう!

ホームページ特別委員会委員長 藤井正王

 東海北陸支部のホームページ委員会は平成13年9月6日に第一回の委員会を開きました。杉浦支部長の希望もあり、積算の仕事に従事している若い人たち4人を選びフレッシュな感覚で参加してもらおうと始まりました。あとは私と副支部長と広報委員会委員長の合計7人です。
 しかしホームページに詳しい人はたった一人あとは仕事ではパソコンに夜遅くまで向き合っていますが、ホームページは全くの素人ホームページの基本も分からない人ばかりでした。それでなくてもあと2ヶ月に迫った全国大会の内容をホームページに載せる目標があり、正直本当に出来るのか心配でした。
 最初は各委員が色々なホームページを見て、トップページを印刷して持ち合い、その中で支部のトップページのデザインの方向を決めることから始めました。そしてホームページに詳しい委員が先生となって基本の勉強会です。インターネットの仕組み、ホームページの仕組み、そして各自ノートパソコンを持ち込みホームページビルダーの使い方と本当に一からでした。でもそれなりには分かったんですが、いざ自分で始めようと思うと出来ないんです。

 とりあえずホームページを開設しようと言う事で、平成13年10月1日にトップページと全国大会の内容を載せ、まがりなりにも開設できました。でもただ開設しただけで決して満足のいくものではありませんでした。
 平成14年9月に大変な事態が襲いました。それは唯一の頼みである、ホームページに詳しい委員が突然勤務している会社を退社したのです。いままで彼にこのホームページの管理をすべて頼んでいましたので、残った人だけではホームページの文字ちょこっと直すことも出来ないし、ましてや管理することなど不可能な状態になりました。

 いつまでも悩んでいても仕方なし自分がやるしかないと思い、早速ホームページの本を購入、勉強してみましたがよく分かりません、これは無理だと途方にくれていました。そして私もデザインがあまり気に入っていなかったし、委員の中からももっと格好のいいホームページにしたいと言う声が出はじめ、なんとか頑張ろうとなりデザインを考えてみましたがうまくできません、やはり素人では限界があります。

 でも普段まじめにやっているといい事もあります。ちょうどその頃私が地元で参加している、ソフトボールのチームに若干25歳でデザイン事務所を開設したメンバーがうちのチームに入ってきたのです。試しにトップページのデザインを頼んだら、さすがデザインで飯を食っているだけのことはあります。一目見てこれはいけると思いました。3案を出してもらい役員会で最終的に1案に絞り、その後支部報の原稿やら。講習会の案内などホームページ全体のデザインを作成してもらい。平成14年10月1日くしくも最初にホームページを開設してから1年後にリニュアルしたホームページが出来ました。そして彼からホームページの更新の仕方や転送の仕方など教えてもらい、今では支部のホームページを管理出来ています。

 ホームページの中で掲示板コーナーがあります。情報掲示板には積算についての質問や積算について普段感じている事など送信して頂ければ、色々な意見も聞け、より仕事に役に立つと思いますし、雑談掲示板には積算にかかわらず何でもいいですから、同じ積算に従事している仲間のコミュニケーションの場として利用して頂ければ、よりよいホームページになると思います。
 まだまだ未完成で面白味に欠ける面がありますが、これからも積算協会の色々な情報を発信したいと思いますので、長い目で見守ってもらいたいと思います。

講習・教育委員会より

講習・教育委員長 佐野 洋治

 前年度は全国大会開催もあり、講習教育委員会事業は最小限度にとどまりました。今年度はこれを挽回する意気込みで臨み、最初は「新基準によるわかりやすい積算」の研修会でした。

 初日の6月12日は、小栗建築事務所の小栗裕重所長の講師で「RC躯体」の研修を、2日目の6月17日は、㈲富士積算の池田素久部長の講師で「鉄骨躯体」の研修を、最終日の6月26日は、㈱円建築積算代表取締役廣瀬稔氏を講師にお迎えして「仕上げ」の研修を開催いたしました。参加者は15名で、皆さん熱心に受講されました。

 第2回目は、「[平成13年基準]国土交通省建築工事積算基準の解説」の講習会で、岐阜市と静岡市の2箇所で開催いたしました。岐阜市では、8月28日「サンピア岐阜」で㈱みどり建築企画の代表取締役藤井正王氏を講師に迎えて開催いたしました。参加申込者数は12名でしたが、当時参加者は僅か10名でした。静岡市では、9月18日「グランシップ」で和田建築積算の和田浩嗣所長の講師で開催。申込者数33名のとろ当日出席者は31名の多くの方に参加していただきました。紙面を借りて心よりお礼申し上げる次第です。

 事実上今年度最後の研修会となりました「新基準による建築数量積算実技研修会」を11月28・29日の2日間にわたって昭和ビル9階会議室で開催いたしました。 初日の午前中は㈱田中綜合設計 野村繁雄設計主任の講師で「新建築数量積算基準の解説」を、午後は㈱円建築積算 松井勉取締役室長の講師で「建築数量積算基準(躯体編)」を開催。野村講師、松井講師とも講師は初めてとかで大変緊張されて見えましたが、とても講師が初めてとは思えないほどすばらしい出来栄えでした。今後が大変楽しみです。

 2日目の午前中は和田建築積算の和田浩嗣所長の講師で「建築数量積算基準(仕上げ編)」を、午後は㈲富士積算の池田素久部長の講師で「建築数 量積算基準(鉄骨編)」をそれぞれ開催し、参加申し込み者数15名のところ出席者は14名でした。この参加者の中には、東海北陸支部のホームページをみて遠く兵庫県の播磨町から参加された方もいます。言い忘れましたが、最初に申し込みされた方もこのホームページを見ての申し込みでした。嬉しい限りです。
 来年度事業につながる研修会「レベルアップ研修会」が今年1月17日(金)に東京のグランパークプラザ棟会議室で開催されました。東海北陸支部からは㈱アイピーエス 藤曲充信部長、㈱円建築積算の松井勉取締役室長そして㈲富士積算の池田素久部長の3名が講師予定者として派遣されました。

 以上簡単ですが当委員会事業経過について紹介させていただきました。今後の講習会案内につきましては支部のホームページを是非ご覧くださるようお願いするとともに、これら講習会に多数の会員の参加をお待ちしています。 

PM講習会参加のお願い!

総務・会員委員会より

これからのあるべきコスト計画はあくまで発注者の立場に立ったコスト計画、「作り手」とは違った発想そして視点が違うところのコストプランニング手法が望まれています。
 いわゆるオーナーの利益を計画すること。オーナーの財産を保護すること。これこそが今後の「積算家=コストエンジニアー」の姿であります。このような観点に立って「プロジェクトマネジャーへの道」シリーズの第1回講習会を平成12年1月21日に開催して以来、今回で4回目を向かえることになりました。

 第1回目のテーマは、「プロジェクトマネジメントとコストプランニング」でした。以下第2回目は「プロジェクトマネジメント(PM)とは何か」、第3回は「コンストラクションマネジメント(CM)の実際」でした。今回のテーマは「ライフサイクルコスト(LCC)の実践的手法と考察」です。 

 講師をお願いいたします竹橋直久氏は、建物のライフサイクルマジメントの実務と研究が豊富で現在芝浦工業大学の講師を勤めてみえます。開催日は平成15年2月14日(金)午後1時半から。会場は名古屋市中区栄にあります昭和ビル9階会議室です。 この機会に出来るだけ多くの会員皆様方のご参加を戴き、より一層「積算家」としての資質の向上に役立てていただければ幸いです。

 ウイーデーで御多忙中とは存じますが、申し込みをお待ちしています。

広報委員会たより

委員 松原舜二郎

 年3回支部報「東海北陸」の発行を基本に、西田広報委員長を中心に10名のスタッフが発行の2ケ月前より夜な夜な事務局へ集合し、会合を行っています。

 今回は、広報委員会たよりとして東海北陸支部の事務局周辺をご紹介します。
 昨年10月、名古屋栄地区に公園と商業の複合施設「OASIS21」オアシス21がオープンしました。事務局がある「昭和ビル」はここから徒歩3分の距離で、都市基盤整備公団中部支部や愛知県建築士会などの建築関係団体の事務所がたくさん入っている複合ビルの9階です。

 最近名古屋の栄地区もライブハウス「名古屋ブルーノート」がオープンし、松坂屋本店の増床や三越の専門館新築など名古屋駅前に対抗して商業機能の面的拡がりが進んでいます。

 広報委員会も会員への支部報を通じての情報提供を東海北陸支部の事務局を中心にがんばっています。
 是非とも名古屋へお出かけの際はご気軽に御寄り下さい。

設計審査特別委員会活動報告

設計審査特別委員会 委員長  西田 彰

「平成14年度設計審査を終えて」

 

 4月16日の第一物件を皮切りに約8ヶ月間続いた設計審査も、やっと12月16日に最終審査を完了し、ほっと一息ついたところです。昨年度は6物件でしたが今年度は9件の審査委託がありました。

 前年度に比べ極めて設計書内容が悪いように思われました。
 通常ならば20~30程度の質疑で終わるものが、今年度は平均50~60項目、最も悪いものでは133項目という物件もありました。

 この設計審査は、あくまでも審査業務ということで進めてきたのですが、今や確実に積算指導となってしまいました。積算途中の設計書を審査書類として提出したり、入手も出来ないような資材単価を設定したり、又このような書類を出しながら合格させてほしいとの嘆願や脅し、その他謂れの無い誹謗中傷など、常識を疑うほどの設計・積算の技術レベルの低さやモラルの低下が伺われました。
 今年度の設計審査にあたられた方々には大変なご苦労をおかけすることとなりました。お礼方々深くお詫び申し上げる次第です。 

 岐阜県に対しては状況報告をすると共に、本来の設計審査の姿に戻したいと、1月14日、事務局長と共に岐阜県の高齢福祉課に対して、設計事務所への強力な指導をお願いしてまいりました。
 協会の認定する新しい資格について検討する委員会が本年度発足し活発な会議が続いています。 
  内容としては、
1  設計審査期日の厳守。
2  建築積算数量基準に基づく設計書づくり。
3  単価操作による予算額への辻褄合わせを止め、図面内容におけるグレードダウンを計る。
4  設計書の取り纏めは「建築積算資格者」を取得した者により、設計書の表紙には氏名及び登録番号を記載する。
5  積算途中設計書及びその他書類の不備がある場合は審査を受け付けない。
6  図面と積算は合致していること。設計者と積算者は連絡を密にする
 以上を願いしました。
   
 前年度及び今年度は、工事費5億円以上審査の対象としていましたが、来年度からは1億円以上ということで審査物件が倍増する事となります。20物件程度は出ると思われます。中には改修物件もあるように聞いておりまが問題もあります。
1  改修の積算基準が無い。 
2  審査できる拾い出し内容になっているか。
3  何がどのように改修されたのか、新旧両方が読み取れる図面が確保できるか。

 次年度を運営するにあたり、その他問題も山積み状態です。現在委員会ではそれらに対応すべくシステム作りを進めています。  

 なお、協会では設計審査の参加者を募っております。参加したい方は、とりあえず参加登録をして下さい。次に物件が発生したら登録者全員にお知らせいたしますので、審査を希望される方は意思表明をして下さい。抽選により審査を依頼いたします。
 詳しくは当協会東海北陸支部の事務局まで御連絡ください。
 電話 052-264-0661 

データベース委員会活動報告

委員 木谷和俊

「我々を取り巻く地球環境・社会環境の変化」

 

 急速な技術の進捗や人口の増大により、我々を取り巻く地球環境・社会環境は大きく悪化し、それらにより大きく変化しなければ未来へ存続することが困難な時代へ突入していると思います。

 地球環境で言えば、オゾン層の破壊・地球温暖化・酸性雨・海洋汚染・有害廃棄物の越境移動・熱帯雨林の減少・野生生物種の減少・砂漠化・開発途上国の公害問題と、これらの悪い情報は残念ながら日頃から耳慣れた言葉となっています。
 人が起因した事だけに、かけがえのない地球の環境を守る為、一人一人が努力する必要があります。 社会環境で言えば、景気の低迷・設備投資の削減・公共投資の縮小・受注競争・国際競争・空洞化・自然環境の悪化・社会への貢献・社会への信用等々、そんな状況の中で我々は、様々な顧客様々な供給者の立場で、常によい物を早く・お値打ちに・環境にも優しくのモットーで行動をしなければならないと思います。その為にも幅広く情報を収集し、学習・研究の努力を続けることが大切です! 既に社会や顧客は、ISO9000(品質保証システム)やISO14000(環境マネジメントシステム)の導入を推奨し、着実に浸透し成果を上げています。

 次に、我々見積・積算に関わる事に触れます。
 公共建築工事を適正かつ円滑に進める為には、施工条件を契約上において明らかにしておく事を重要とし、建設省においては平成3年1月、施工条件明示の指針を通知された。
 工程関係・用地関係・公害対策関係・安全対策関係・工事用道路関係・仮設備関係・残土産業廃棄物関係・工事支障物件等・排水関係、(再生資源の利用の促進・PCB使用電気機器の取り扱いについて等)。
 平成12年4月から施行された「住宅品質確保促進法」、10月から施行された「住宅性能表示制度」は、住宅に対するクレームを軽減する目的で発足した法律であり、要求される設計性能や等級を明確にし、丈夫で安全、快適で使い易く、人にも優しい住宅環境が、社会や顧客に提供されるしくみとして運用されています。

 さて、我々委員会では昨年5月から施工の建設リサイクル法と分別解体のパンフレットをホームページに掲載いたしましたが、御覧いただけましたでしょうか。
 平成15年2月には新たに土壌汚染対策法が施行されます。何かと規律・規則がたくさんで、学習することも大変ですが、前記述の通りの状況であることをご理解いただき、共に努力されることをお願いし、レポートを終りとします。

 本年もよい年でありますよう。

忘年会に際して

副支部長 川辺 清次

 昨年の暮、12月19日(木)役員会のあとに、毎年恒例の忘年会が開催された。今年は例年と違って 会場が東京第1ホテルと豪華版である。参加者総数40名と例年より多少、多目の人数である。賛助会員の方々も数名参加者があり賑やかである。ただ当日が木曜日とあって、北陸の人々が参加しにくかった様だ。金曜日であれば翌日が土曜日で参加できたのに……という声があった。これは次回以降の反省点である。又、当日、杉浦支部長も風邪で、役員会で挨拶された後、帰られた。大変残念であるが高齢(?)なので無理は禁物である。

 そこで硎谷副支部長の挨拶にはじまり、開宴された。久し振りに会う人、一年振りの人、会社を辞めた人、定年退職した人、再就職した人、充電中の人、悲喜交々、正に忘年会である。あっという間の一年であるが、やはり色々な出来事があり“人の経験がすぐ我にあり”で参考になる様だ。
 積算協会としては、全国大会も終わり、建築8団体新年互礼会の幹事も終え、ほっとした一年である。又、建築積算資格者の更新講習も 名古屋 金沢 静岡と終えたばかりで、一同ほっとしているところである。特に今回は、更新講習で役員、委員の方々に“大変ご苦労様でした”という意味も込めて、事務局長より特別にコンパニオン3名、ただし、一時、社長も含めて4名。しかも金額は2名分という名交渉(?)で、例年になく華やいだ雰囲気であった。 

 本年は我が支部もホームページを立ち上げ,今後は内容充実を計り、より一層適格な情報を、より早く伝達し 会員各位に利用、活用していただける様、切磋琢磨が必要である。 世の中、相変らずの建築不況、長引く不況に我慢、辛抱も限界に来ている。皆なで知恵を出し合い 汗をかいてこの難局をなんとか乗り越えるべく会員一同、頑張っている最中である。そんな中で協会として何が出来るか、何を手助け出来るか何をすれば負担を掛けないか? 等々、考えさせられるこの一年であった。

  談論風発、楽しい時間は、あっという間に過ぎ予定の8時頃になった。植田副支部長の音頭で一本締めをして散会した。二次会に行く者、まっすぐ家に帰る者、夜の巷に消えてしまった。“皆さん良いお年をお迎え下さい”

 

以上

神様お願い

桑名 利男

 今年度から、公立小、中学校が完全週5日となり、学習内容を削減した「ゆとり」教育を奪った形の新しい学習指導要領の実施はその影響が、さかんに論議されています。現場の先生の話では、月曜日になると学校での生徒の様子が土、日曜日をクラブ、スポーツ少年団等で過ごした子供と、友達と遊ぶこともなくゲーム等好きなことをして過ごした子供とがはっきりわかるそうです。

 なぜなら、前者は体は疲れているが目がイキイキしており、後者は元気もなく無気力な様子がわかるからです。その為その学校では、後者が過半数以上を占めるので朝、運動場で持久走し学習習慣をとりもどし、各家庭には朝食を必ず摂ること、夜十時以降はテレビを見せない等協力をお願いして授業にはいったそうです。又、先生方にとって土曜日の午後は他の先生とのコミュニケーションを図る自分たちの大切な時間、その時間が無くなりものたりなさを感じているそうです。その結果は全てではありませんが,昨年12月14日の新聞紙面で発表の通り学力の低下を指摘されています。先生方からは、子供の意欲、集中力の低下を指摘する声が多く、子供の親からは「やはり学校の勉強だけでは足りないのか」と不安の声も上がっているそうです。

 以前から、国語力が弱いと問題の意味が判らないので上級学年での数学の学力向上は難しいとよく言われていました。2002年には日本人で2名のノーベル賞受賞があり、近年の受賞者の多くは東海地方(富山、岐阜高山)に地縁があるようにも思います。この地「東海北陸」には、山、川、海と四季の彩りを肌で感じる環境が整い、四季の移ろい、自然の育みが厳然としているこの地方での生活が科学(物理、化学)への扉を開かせたのでしょうか。日本文化は、節句にみられるように「米」を元に四季それぞれの自然の恵みを受け、感謝し、育み、庶民信仰の対象なったそれぞれの神々を祀りました。

 西濃地方、岐阜県不破郡垂井町宮代には包丁の神と仰がれる」「金山彦神を祀る「南宮大社」があります。旧社格は国幣大社で全国の包丁製造者は年に一度は必ず参詣し、心をこめて製作した包丁を奉納するという。また11月8日には金山祭とか鞴祭といわれる鍛錬式が古式ゆかしく行われます。不破郡は、名刀工・関の孫六に代表されるように刀工の出身地であることで知られ、そうしたことに結びついて、垂井の南宮神社が全国三千の金山彦命を祀る神社の総本宮として崇められるようになったものである。一般には公開されていませんが、回廊には包丁をとめた額が所狭しと掲げてあり実に壮観です。

 受験シーズンの本番を前に境内の一方には「○○高校に合格できますように」、「○○大学に受かりますように」と書かれた絵馬がたくさん掛けられていました。最近は、社会情勢、不況を反映して「□□会社へ就職できますように」と書かれた絵馬も目立つそうで正に、「神様、お願い!」といったところで例年より多くピークは3月末まで続く様相だそうです。

阪神淡路より8年に思う

有限会社 建築見積りセンター 潮田春生

 平成7年1月17日早朝、兵庫県南部を襲ったマグニチュード7.2の大地震は、多数の建物を破壊させ、その後の火災も含め6,433名もの尊い生命を奪う結果となりました。

 この日から新聞、テレビ、ラジオは、このニュース一辺倒になり、明けても暮れても被害の様子が写し出され、私達は目を覆ったものでした。数ヶ月経ったある日、自分も建築の一部に携わるものとして「壊れ方」をこの目で見ておく必要を感じ、当時、阪神電鉄の仮の終点となった「御影駅」周辺を見てまわりました。
 そこには大きく傾いたビル、ピロティの柱が圧壊して座り込み、2階が1階になってしまったマンションなど、想像以上の衝撃を受けたことを覚えています。

 あれから今年で8年・・・。 震災の2年後でしょうか、私の住む三重県でも、昔建てられた高校が危ないという訳で「耐震補強」という工事が盛んに発注されるようになり一歩遅れで小中学校や幼稚園にも拡がり、現在に至っています。
 私の所も設計事務所のお手伝いとして、その積算が毎年1・2件はあり、その図面を見ていますと、年を追う毎に少しずつ変化があるのに気付きます。

 協会の認定する新しい資格について検討する委員会が本年度発足し活発な会議が続いています。最初の頃は各階の桁行き方向3~4スパンを潰し、小窓を付けた厚さ25㎝の耐震壁を設けていたので、なるほどと納得していました。
 それが年を追う毎にこの個所が減り、最近は鉄骨の「Kブレース」なる筋違いを1・2ヵ所入れておしまいという状況になって参りました。
 もし、阪神淡路クラスの地震が襲ってきた場合この程度の補強で十分耐え得るのでしょうか。元々の柱のサイズや配筋などを見て、これでは塀の突っ張り程度にしかならないのではないかと私は思います。
 何故、耐震補強が年を追う毎に軽微になってきたのでしょう。下衆の勘繰りとして私が思い当たるのは次の3点です。
 1 不況で税収が落ち込み、自治体としても公共工事を圧縮しており、耐震補強とて、その例外ではないという点。
 2 日本人特有の「喉元過ぎれば熱さを忘れる」、最初は大変だ! と言って万全の構えをするものの、時が経つにつれ緊張感が薄れねこれくらいでよいのではないかという風潮。
 3 耐震補強を施した後、もし地震が起こり 建物が倒壊した場合は「設計をしたこの人が責任を負います」という仕組みになっていない点。

 一方、1月15日にあった内閣府の調査結果によれば、学校や幼稚園などの耐震補強の取り組みにも、自治体によってかなりのばらつきがあり 最も進んでいるのが静岡県で69.7%、最もおくれているのが香川県の27.7%とずい分開きがあります。
 この程度の工事には国からも相当の補助金が出るでしょうから、突き詰めると、偽政者の災害に対する考え方の差と言えるでしょう。

 阪神淡路大震災による大量の建物の倒壊を、神様が我々建築関係者に対しての警鐘と考えるならば、建築基準法第一条「国民の生命、健康、財産の保護を図る」の原点に帰って、しっかりとした補強をすべきではないでしょうか。
 「予算が少なかった」などと苦しい言い訳をしなくても良いように。 

積算スタッフ紹介

有限会社エスム積算 岡本 章子

現状は? 積算を始めて4年、仕上拾いをしています。

●積算について?

 

社会人になり、実際に実務を教わるまでは積算について何の知識もありませんでした。大学では積算についての授業は全く無く、設計事務所の友人には毎日お金の計算してるのか?と言われていた程です。
実際は毎日図面を見て、頭の中で立体化し拾っていく訳ですが、図面一式読み取れる事に驚かれた事もあり、同じ建築業界なのに積算とはこういう認識なのか・・・と逆に驚かされました。そして積算上の考え方と実際の現場との間に違いがある事にも驚きました。
私は現場を知らないままこの仕事に就いた為、実際の物や工法を知らないまま拾っている事もあります。自分が図面を見て積算した物件を、現場でどう出来上がっていくのか見学することが出来たらと思います。

●将来について?

 

公共事業が見直され、CADと連動した見積ソフトも出現し設計事務所の友人には積算事務所に出すとコストがかかるから自分達でやってしまうと言われ、この仕事の将来について考えると不安を覚えますが、個人的にはまだまだ未熟で学ぶべき事がたくさんある為、それらの習得に向けてこれからもがんばっていかなければと思っております。

(有)建築見積センター 早川 喜久代

私の住まいから歩いて3分くらいの所に、見積センターという、この会社があることは何となく知っていましたが、求人をしていて、まさか自分が入社するとは夢にも考えませんでした。
 最初は「仕事をしに行く」というよりは「勉強をしに行く」という表現が当てはまる毎日で、どんどん新しいことを学べるのはとても楽しく、「社会人である」という自覚がなかなか持てなかったものでしたが、少しずつ先輩方のお手伝いをしたり図面に向き合っていくうちに仕事に対する責任感と緊張感、そして自分の仕事に対する自負が出てきました。
数字を追いかけ、数量をこつこつと求め、まとめていく作業は地道ではありますが、それが終わったときの達成感はとても心地良いです。
 入社七年目の現在まで、役割は躯体一筋です。最近は計算ソフトのおかげで数千㎡の物件でも一人でやれるようになりました。
 仕事以外、趣味としてはアーチェリー(洋弓)と雅樂です。こちらの役割は「龍笛(りゅうてき)」という笛で、主に主旋律を担当しています。
 仕事内容は余り表に出ない、いわば裏方の仕事の為、今でも人に仕事の説明をするのに一苦労していますが、これからもこの積算という仕事に誇りを持って頑張っていきたいです。

岐阜部会だより

株式会社 市川工務店 神山 富弘

 平成14年12月18(水)の午後6時30分より、JR穂積駅北口にあります「市橋屋」さんにおいて、岐阜部会の忘年会を行いました。 

 まず始めに、杉浦支部長のご挨拶を頂きました。(なんと、翌日は東海北陸支部の忘年会と伺い、岐阜部会の忘年会にご参加下さったことに感謝致します)
 杉浦支部長のご挨拶の内容で、私が気に留めた事は"建築積算資格者"が国交省の大臣認定から外れたにもかかわらず、更新講習会を受講される建築積算資格者が多数であった事です。

 現在、建設業界が不況のどん底で、資格の一つや二つは持っていなければ・・・、と言う事でしょうか。
 私も、平成12年度の積算資格者試験に、計算問題が苦手ながら、何とか2次試験から合格する事が出来ました。

 試験会場で、他人のカチカチと電卓を叩く うるさい音にも耳を傾けず、それに対抗するかのように、ひたすら制限時間いっぱい迄、電卓を叩いた記憶は今も忘れません。 
 コストの専門技術者として、私自身も今後、積算資格者更新講習会を受講させて頂きます。(ただ、もう少し受験手数料や更新手数料が安くならないでしょうか?・・・本音です)
 話しはそれましたが、支部長に続きまして松岡部会長のご挨拶を頂き、乾杯の音頭で会が始まり宴たけなわとなりました。

 話題はどうしても建設業界の話しが中心となりますが、不況で岐阜部会の会員の方でも転職された方が何人かお見えになりました。しかし、前向きな姿勢は私自身も見習う所です。

 最後になりますが、平成15年度も、積算教室等の行事がありますので、皆様のご参加をお待ちしております。

編集後記

 拾った宝くじが偶然にも当たり大金が転がり込んだのも束の間、義理で買ったボロ株はどんどん上がり始めた。

 25年掛け続けた養老保健が今月満期になり同時に家のローンも終わる事となった。父が残してくれた土地に道路がかかり、昨日売買契約を交わした。

 この春息子は某大手病院の理事長の令嬢と話が決まり、持参金が転がり込んだ。これらの一部を会社の借金の返済に回しても十分お釣りがくる。

 今後の使い道について考えると、悩む・・・。 風邪で寝込んだ蒲団の中での妄想。

 こんな都合のいい話あるわけないか・・。 

 今年はひつじ年、(円)とはどことなく似ている、何かいいことありそうな。

  2003年 1月吉日 

広報委員

植田 隆明 松本 利治 西田 彰 吉原 光二
松原 舜二郎 潮田 春生 松岡 重幸 勝野 徹
公益社団法人日本建築積算協会・東海北陸支部