公益社団法人日本建築積算協会・東海北陸支部

積算とは何ぞや?

初級講習会を「初級の初級」と「初級の中級」に分けて行なうようになりました。「初級の初級」とは、積算とは何ぞやから始まり積算基準の目的そして、決して難しく考えてはいけない数量積算などを説明し、「初級の中級」はそれを踏まえて、実際の数量積算をやさしく解説しようとした講習会です。

これは工業高校に挨拶に伺ってよく分かったのですが、積算は学生には難しくて、とても理解できる様な内容で無いし、適切なテキストが無いので、非常に難しいと言う意見が大半でした。たしかに積算の難しさはありますが、作業としての積算は大半が数量積算であり、入り口としては、建具のか所数を数える事から始まります。

数学(公式・方程式・積分・微分)で無く、算数(足し算・引き算・掛け算・割り算)の世界ですので、決して難しい物では無いのです。さらに計算で出ない数量はスケールで計った数字を使ってもいいのです。その事を十分に理解できれば、決して難しくはないでしょう。

そして、積算とは一体どんなことを示しているのでしょうか、よく言われる積算は数量拾いで見積は値入作業と解釈している人は多いと思います。それは決して間違いではないのですが、日本建築積算協会として、ひとつの定義を示しています。積算協会発行の「建築積算テキスト」では
「建築積算は、事前に建築コストを予測することが第一の目的となっています。事前に予測される建築コストは、事前原価と呼ばれます。工事が完了した段階の建築コストは、事後原価といわれますが、建築積算は、事後原価を把握することも目的となっています。」

「建築積算は、企画書や設計図などから、必要な工事を洗い出し、各工事に必要な数量を計測する「数量積算」が基礎となっています。しかし建築積算の目的は、あくまでも建築コストの算定です。数量積算によって算出された項目別の数量を基に、対応する価格を設定し、工事費を予測したり、完成に要した工事費を計算します。」

「建築コストは、建築物をつくる過程で大変大きな影響を及ぼします。そこで建築コストの管理は重要となりますが、建築コストを管理するには、建築積算が不可欠です。建築積算の知識や技術を身につけている者がはじめておこなえる仕事です。

年々建築コストに対する関心が高まってきています。いいものを安くつくるには、建築コストの透明性、客観性、妥当性が求められますが、この目的を果たすのが建築積算です。」そして、建築数量積算基準の目的として、「積算することにより異なることの多い細目の数量の計測・計算において、誰が積算してもその数量の差が許容範囲を超えない計測・計算法を創出する。」とあります。

これからは、工業高校、専門学校、工業大学及び社会人に対して、この基本の基本と言える、積算とは何ぞや?と建築積算基準とは何ぞや?をしっかり理解して貰えるように普及活動に勤めていきたいと思います

公益社団法人日本建築積算協会・東海北陸支部